先日、ドライバーを買おうと思ってドラッグストアに行ったんです。
その店内、酵素って言葉がたくさん書いてあったんですよ。
酵素が入っている甘酒、とか、
酵素で驚きの白さに、とか、
今の日本人には酵素が足りない、とか。
それを見て思ったんです。
洗剤にも甘酒にも酵素が入ってるけど、これって同じものなの?
うーん……どうなんだろう。
だから、そのあたりを調べてみようと思いました。
目次
酵素とは ~物質~
まずは、困ったときのwikipedia。
酵素のページを見てみます。
酵素(こうそ、英: enzyme)とは、生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子である。酵素によって触媒される反応を“酵素的”反応という。
引用:ウィキペディア 酵素
なるほど……よくわかりません。
概要を見てみます。
多くの酵素は生体内で作り出されるタンパク質を基にして構成されている。したがって、生体内での生成や分布の特性、熱や pH によって変性して活性を失う(失活)といった特性などは、他のタンパク質と同様である。
引用:ウィキペディア 酵素
つまり、酵素はタンパク質だと。
臓器や筋肉、皮膚や毛髪の材料と一緒だということですね。
ということは、酵素は物質ということになります。
酵素とは ~触媒の物質~
ところで、さっき出てきた触媒とはなんでしょうか。
wikipediaで調べると、
触媒(しょくばい)とは、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう[1]。また、反応によって消費されても、反応の完了と同時に再生し、変化していないように見えるものも触媒とされる。
引用 ウィキペディア 触媒
特定の化学反応? どんな反応?
どうやらこの反応、6種類あるらしいです。
それぞれ対応する酵素が違うらしいです。
- 酸化還元酵素(オキシドレドクターゼ)
生物の体内において酸素や水素を取ったり与えたりして、酸化や還元を伴う反応の促進作業を行う。- 加水分解酵素(ヒドロラーゼ)
化合物を水の存在下で分解する。プロテアーゼやアミラーゼ、リパーゼ、マルターゼなどが含まれている。- 移転酵素(トンランスフェラーゼ)
化合物の間において特定の原子や原子団を移動する。アミノ酸の合成や分解に関わるアミノ基移転酵素などがある。- 脱離酵素(リアーゼ)
化合物から反応基を切り離す。- 異性化酵素(イソメラーゼ)
異性体間の相互転移、つまり化合物の間において、分子量を変えずに構造を変える。- 合成酵素(リガーゼ)
特定の化合物を合成させる。引用:驚異の酵素パワー 藤本大三郎
うーん……なかなか難しい。
もう少しわかりやすくしてみましょう。
- 酸化還元酵素
酸化や還元を助ける酵素。 - 加水分解酵素
水を使ってモノを分解する酵素。 - 移転酵素
あるモノから別のモノへ、リン酸基やアミノ基が移動するのを助ける酵素。 - 脱離酵素
モノからある反応基を切り離す酵素。 - 異性化酵素
モノの内部の構造を変えることで、別のモノに変化させる酵素。 - 合成酵素
あるモノとあるモノをくっつける酵素。
わかりやすくなった……のか?
ともかく、これらをまとめると、
酵素とは、モノをくっつけたり突き放したりするのを手伝うタンパク質である、
といえるでしょうか。
酵素とは ~触媒の物質としての働き~
酵素は物質でした。
くっつけたり突き放したりする作用を持っていました。
今度は、酵素の使われ方を調べていこうと思います。
洗剤で洗うとき、ご飯を食べるとき、酵素は何をしているのでしょうか。
例① 食べ物を食べる場合
まず口に食べ物が入ります。
このとき分泌されるのはアミラーゼ。
アミラーゼはデンプン(炭水化物)を糖に分解します。
次に胃に入ります。
ここでは、プロテアーゼが働きます。
この酵素はタンパク質をアミノ酸に分解する作用があります。
その後、小腸へ行きます。
ここではリパーゼ・マルターゼが分泌されます。
リパーゼは脂質を、マルターゼは糖を分解します。
食べ物はそのままだと分子が大きすぎるので、
吸収するためには小さくしないといけません。
なので、酵素の力で分解するのです。
食事の時の酵素は、
栄養素を分解して吸収しやすくしています。
例② 甘酒を作る場合
甘酒には2種類あります。
米麹を使ったものと、酒粕を使ったもの。
ここでは米麹を使った甘酒についてです。
甘酒の作り方はシンプルです。
水に米麹を入れ、50~60℃程度で8時間ほど保温すれば完成です。
このとき、酵素が使われています。
米麹はお米にコウジカビが付着したものです。
米麹を水に入れて温度を上昇させると、コウジカビと一緒に付着していたアミラーゼが働き始めます。
アミラーゼは、米麹のデンプン(お米の部分)を分解し糖分に変化させます。
それによりあの甘い甘酒ができあがるのです。
甘酒を作る時の酵素は、
デンプン(米麹)を分解して糖分(甘み)にしています。
例③ 酵素入りの洗剤を使う場合
酵素入り洗剤。CMでよくやっています。
ここでは、汚れに対して酵素が使われています。
牛乳汚れ
こぼしてしまった牛乳の汚れ、イヤですよね。
乾いてしまうとさらにイヤです。とれないし。
この汚れはタンパク質でできています。
なので、プロテアーゼが役に立ちます。
プロテアーゼは分子量が大きいタンパク質を、
分子量の小さいペプチドに分解します。
ペプチドはタンパク質より簡単に洗い流せるので、洗濯が楽になるのです。
- 分子量
ここでは質量として考えています。
分子量が大きいものほど洗い流しにくいです。
皮脂汚れ
ここで使われるのはリパーゼです。
リパーゼは、脂質を脂肪酸とグリセリンに分解します。
脂質は温度が高くないと水に溶けませんが、
脂肪酸やグリセリンは低い温度で溶けます。
こうすると、油汚れが常温の水でも落ちるようになります。
洗剤の中の酵素は、
こびりついた汚れを落ちやすい汚れに分解することで楽に洗い流せるようにしています。
今回のまとめ
酵素について調べた結果
- 酵素はタンパク質(=物質)
- 酵素には、モノをくっつけたり突き放したりする性質がある
- 酵素の作用は、食べ物や洗剤で活かされている
ということがわかりました。
甘酒と洗剤に入っている酵素は、タンパク質で作られているという意味では同じ酵素です。
ですが、例えばアミラーゼの中にも細かい分類があるらしく、全く同じというわけではないようです。
このことについては、次回以降で書いていこうと思います。
引用・参考文献
藤本大三郎 (1994) 驚異の酵素パワー
石鹸百貨
https://www.live-science.com/
マナペディア
http://manapedia.jp/
wikipedia 触媒
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%B5%E7%B4%A0
wikipedia 酵素
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%B5%E7%B4%A0